60代へ向けて〜丁寧に 50代主婦 シンプルに生きる

50代主婦 老後に向けて丁寧に生きていきたい シンプルに。

辰巳渚さんの人生100年時代を前向きに生きるコツ3

ポジティブな目線で、今までの自分の人生を捉える


辰巳渚さん

※本記事は、2018年に辰巳渚さんに取材し作成した記事を再掲載しています。


最終回となる今回は、いよいよ、これからの自分が進むべき道を考えていきましょう。今後の人生を生きるのは、言うまでもなく、これまでの経験を積み重ねてきた自分。だから、過去からつなげて考えてみます。

その前に、前回までのことを、簡単におさらいします。この連載の中で私は、いくつかの「発想の転換」をお伝えしてきました。

まず、これからの人生、お金のことばかり不安がるのではなく、新しい生き方を模索できるチャンスと捉えましょう、ということ。そして、何十年と生きてきた中で誰もがたくさんの経験を積んできていて、それは決して「小さなこと」と思う必要はないということ。

ポジティブな目線で、今までの自分の人生を捉えていただきたいと思います。そのことを前提に、前回は今までの人生経験を客観視するワークを行っていただきました。今回も2つのワークを行いながら、これからの道を探っていきます。

プレミアムインタビュー

ワーク1: これまでの人生で得たこと、教訓は ?


ワーク1: これまでの人生で得たこと、教訓は ?

1つ目は、自分が「大事にしていること」「おろそかにしていたけど、これから大事にしたいこと」とは何かを考えます。

「大事にしている」こととはすなわち、あなたの価値観。ここで導き出した見方や捉え方は、明日、すぐに役立つとは限りません。でも、今後の長い人生の中で、例えば何か判断しなくてはならないとき、必ずあなたの軸になってくれるでしょう。

具体的には、前回、「自分史ワーク」の中で思い出した印象的な出来事を基に考えます。その出来事から「得たこと」や「教訓」を書き出してみましょう(今回初めて読む方は、ぜひ、生まれてから現在の年齢までの、印象的な出来事から書き出してみてください)。

文字に起こすことは、実はとても大事なこと。頭の中でボンヤリしていたことを一度外に出し、目で見て、頭に入れ直す。そうすることで、納得が生まれやすくなります。このとき、もう一人の自分が自分にアドバイスする感覚で行ってみてください。

ワーク1:記入例

続いて、「どんな場所で何ができるか」を考えていきましょう。このときも、ちょっと発想の転換を。「どんな場で自分を生かすか」ではなく、「どんな場なら、自分は生かされるのか」と考えてみてください。

若い頃は、「これがしたい」「私にはこれが向いている」という熱い思いを原動力に行動することが、「自分を生かす」ことだと考えたかもしれません。もちろんそれも大事なことです。

でも、「生かす」というのは、「生かされる」先があってこそ。年齢を経た私たちは、「自分の経験はどんな場で役立つだろう、求められるだろう」と考えてみると、自分を生かせる、真の道が見えてくるはずです。

ワーク2:周りの困りごと、自分のできることを考える


2つ目は、あなたが「生かされる」場を探るワークです。「家族・身内」「地域」「仕事」「趣味・学び」の4つのカテゴリーに分けて、それぞれの場所で求められていること、つまり、その場の「困りごと」や「課題」を書き出します。それに対して、自分ができることは何か、考えてみましょう。

ワーク2:周りの困りごと、自分のできることを考える

例えば、あなたの住む「地域」はどんな人手や知恵を求めているでしょうか? 「地域」の場合は、自治体のホームページなどで調べてみるとわかりやすいです。空き家問題、高齢者問題、ひとり親支援などの課題に対して自分ができることも、併せて考えてみましょう。

自分ができることを無理なく始める


自分ができることを無理なく始める

地域や誰かの役に立つといっても、立派なことをしようと思う必要はありません。「役に立つ」とは、他者に必要とされる人になること。外国の貧しい子どもたちや被災地を支援することなどだけが「役に立つ」ことではなく、夫に必要とされることも、立派に自分を生かすことです。

一方で、家族や他人のためには十分尽くしてきたので、これからは、社会のためよりも自分に向き合う時間がほしい、と思う方もいるかもしれませんね。もちろんそれも、有意義な生き方です。

では、あなたがしたいことは、どの場所でどう発展する可能性があるでしょうか? 例えば私自身は、バイクに乗りたくて、最近、免許を取得したんです。でもこれは、夫と一緒にも楽しめるし、町おこしの活動に携わって、「バイクロード」を造って人を呼ぶというアイデアを提案できるかもしれません。

こんなふうに、自分との向き合い方についても自由に考えてみてください。

連載の冒頭から繰り返しお伝えしてきていますが、これから行っていくことは、「小さい」ことからでいいのです。

小さなことをばかにしないで、自分ができることを無理なく始めると、おのずとそれを必要とする人たちに出会っていけます。

決め付けず、偶然の出会いを楽しむ


決め付けず、偶然の出会いを楽しむ

実は、私たちは30~40代の頃に、さまざまな人間関係の「種」をまいてきています。もちろん、環境の変化などによって、今は眠っている関係性もあるでしょう。

ですが、50年、60年と生きてきた私たちが次の自分に踏み出すと、埋もれていた関係性がひょこっと立ち上がり、回路がつながって、自分が生かされる関係性が芽吹いてきます。

これは若い頃にはわからない、この世代ならではの面白み、財産です。だから「自分はこれしかできない」と決め付けないで、偶然の出会いを楽しみながら、動いてほしいと思います。

この3回の連載を読み、ワークを行ってきた中でも、新しい自分への道が開かれているはず。まだまだ新しい自分に出会えますし、必要とされる生き方は自分でつくっていけます。人生100年時代を、前向きに楽しんでいきましょう。

辰巳渚さんのプロフィール


たつみ・なぎさ 1965(昭和40)年生まれ。お茶の水女子大学卒業後、出版社勤務を経て、93年に独立。「家事塾」主宰として、講座やセミナーなどで生活哲学を伝える他、2017年度から星槎(せいさ)大学にて社会人の学び直しのための「生活・地域ファシリテーター」育成プログラムの講師も務めた。130万部の大ベストセラーとなった『「捨てる!」技術』(宝島社新書)の他、著書多数。2018年6月にバイクの事故で急逝。

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