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辰巳渚さんの人生100年時代を前向きに生きるコツ2

辰巳渚レッスン2:自分の強みを見つける人生の棚卸し

雑誌「ハルメク」

生きるヒント

50代仕事

会員限定

公開日:2021.09.24 更新日:2022.04.14

「長生き時代」を不安に思うのではなく、発想を転換し、新しい生き方を探っていく――その方法を伝えてきた片づけのプロの故・辰巳渚さんに、「前向きに生きるコツ」を教わる連載。第2回は人生を「棚卸し」して、自分の意識下にある強みを掘り起こします。

辰巳渚さんの人生100年時代を前向きに生きるコツ2


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目次

誰もが生きた分の財産を持っている

自分を客観視し、強みを見つける

ワーク1:過去の経験を洗い出す

ワークを通じて、自分の成長に気が付いた

ワーク2:今の人間関係を客観視する

辰巳渚さんのプロフィール

誰もが生きた分の財産を持っている


辰巳渚さん

※本記事は、2018年に辰巳渚さんに取材し作成した記事を再掲載しています。

「人生100年時代」といわれるこれからを、私たちはどのように生きていくべきか。前回は、お金などの心配ばかりをするのではなく、新しい生き方を模索できるチャンスと捉えましょう、という話をしました。今回は、これまで自分が築いてきた「財産」を見つけていきます。なぜなら今後の長い人生で、あなたの強みを生かさない手はないからです。

このようにお話しすると、「私はたいしたことはしていない」「何の資格も持っていない」と自信なさげに言う方も少なくありません。私たちを取り巻く社会やメディアは、不安や不満を煽って、物や情報を売ろうとする傾向があります。

そのため私たちは、気付かないうちに自分の人生についても、つい「足りない点」を探してしまいがち。ですが実際は、50年生きたら50年分の、70年生きたら70年分の財産を持っているのです。

経験から備えたものが、大切な「財産」


経験から備えたものが、大切な「財産」

以前、「料理も掃除も洗濯もそこそこはできます。でも、これだけは他の人に負けない、すごい力がありません」と話す人がいました。ですが、「そこそこ」は悪いことでしょうか? 

例えば、最近、共働き世帯向けの家事支援サービスが増えていますが、日常的に、超一流の料理人に食事を作りに来られても困りますよね(笑)。それよりも、「そこそこ」に家庭を維持できる力の方が、この場面では役に立つわけです。

つまり、家事が「そこそこ」できるという自分の尺度では「小さい」と思うことでも、別の人の尺度や違う世代の人の目線では、宝物のようなことに映ります。だから、ご自分のしてきたことに大きい、小さいはないということ。このことをぜひ、心にとどめておいていただきたいと思います。

また、つい、「○○大学卒業」や「○○免許取得」といった社会の尺度が、自分の経験を証明してくれるように思いがちですが、これらは、あくまでも称号にすぎません。それよりも、自分自身が経験から備えたものが、ここでいう大切な「財産」です。称号=財産という発想も、一度取り払ってみましょう。

プレミアムインタビュー

自分を客観視し、強みを見つける


自分を客観視し、強みを見つける

これからご紹介する2つのワークでは、どちらも、自分がこれまでに行ってきた経験や、自分を取り巻く環境を客観視します。それをヒントに、自分は何が大事なのか、何が好きなのか、どういうときに力を発揮できるのか、などを見つけていきます。

この棚卸し作業は、いうならば、クローゼットの片付けに似ています。開かずの間になっていたクローゼットを開け、忘れていた服に気付き、整理し、時には二度と着たくないと思っていた服にも向き合う。表面だけをさらうのではなく、ゆっくり時間をかけて、奥から掘り起こして行うことが大事です。

進めていくと、「これってこういうことかしら」と、意識の下に眠っていた何かが、ふと見つかることがあります。でも、何も見つからなくても悲しむ必要はありません。「これから何でもできる」と、発想を変えればいいだけ。つらい経験も、何もないという事実も、すべてこれからにつながります。

それでは早速、行っていきましょう。

ワーク1:過去の経験を洗い出す


生まれてから今の年齢までの人生経験を、「自分史」を書くことで客観視していきます。

ワーク1:過去の経験を洗い出す

西暦と年齢に沿って、「幼稚園に行った」「引っ越した」などの出来事を書き、その後、そのときに印象的だったことや、自分がどんな気持ちだったかを思い出し、書き出します。その出来事が良かった、悪かったといった評価はせず、事実だけを書いていきましょう。空欄があっても構いません。

自分にとって、大きな出来事だったと思うところに色を付けます。そのときの気持ちを思い出し、その経験が、自分に何をもたらしてくれたかを考えてみましょう。

一度にすべての答えがでるわけではありません。日をあけて、家事の合間にでも、気にかかる出来事を反すうして考えてみてください。「このとき、どういう気持ちだったかしら?」など自問自答し、自分への理解を深めていきます。

もし、ご自身の中で気持ちの整理がついているのならば、大きな出来事の他に、つらかった経験や、自分の至らなさを思い知った出来事を振り返るのもよいでしょう。

ワークを通じて、自分の成長に気が付いた


ワークを通じて、自分の成長に気が付いた

私自身、50歳の頃にこのワークを行い、そんな日々が自分を成長させてくれたことに気付きました。前回もお話ししましたが、私は子どもを産んだ後、夜泣きに悩まされました。子どもは愛しいけれど、寝る時間が減り、家のことも仕事もきちんとできず戸惑いました。

でも今思い返すと、子どもが生まれる前の私は、何でも自分の思い通りになると思っている、傲慢(ごうまん)な人間でした。でもこの経験を通じて、ワガママな私から卒業していたのです。

「つらかった」「至らなかった」という思いを否定せず、次の同じ場面では配慮ができる、新しい自分に出会わせてくれたと捉える。みなさんも、こんなふうに考えてみてください。

ワーク2:今の人間関係を客観視する


経験は、人間関係にも反映されます。というわけで2つ目は、人間関係を客観視するワークを行いましょう。自分を取り巻く人間関係が、カテゴリー別にどういう状況なのか、その事実を客観視します。

ワーク2:今の人間関係を客観視する

円を描いて4等分し、「家族・身内」「仕事」「地域」「趣味・学び」の4つの枠を作ります。

それぞれに、あなたの交友関係を書き入れます。よく会う人の名前は円の中心付近に、めったに会わない人は外の方に記入します。円の中心から線でつないで、完成です。

自分の人間関係が、どの枠に多く、どの枠に少ないのか、客観視します。

さて、どんな図が出来上がりましたか? びっしり埋まる枠と、スカスカの枠があるかもしれませんね。このワークは、埋まった方がいい、スカスカはだめと評価するものではなく、今のあなたを構成する人間関係を知り、今後にどう生かすかを考えるために使います。

人間関係が多い枠を、自分が大事にしたい関係だと捉えて、今後もそこを充実させていくと考えてもいいし、人間関係が少ないところを増やしてみようと考えてもいい。正解はないので、自由に考えてみてください。

辰巳渚さんのプロフィール


たつみ・なぎさ 1965(昭和40)年生まれ。お茶の水女子大学卒業後、出版社勤務を経て、93年に独立。「家事塾」主宰として、講座やセミナーなどで生活哲学を伝える他、2017年度から星槎(せいさ)大学にて社会人の学び直しのための「生活・地域ファシリテーター」育成プログラムの講師も務めた。130万部の大ベストセラーとなった『「捨てる!」技術』(宝島社新書)の他、著書多数。2018年6月にバイクの事故で急逝。

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